応募は、自分の意志を伝え、必要な応募書類を提出することです。そしてこの応募という行動は、社会人としての基本的なマナーを身につけられているかの評価につながります。
もちろん、それだけで合否の判定がされるわけではありませんが、面接をプラスからスタートできるかという点では大きな要素となります。
就活においてはテクニック的な側面もありますが、社会人として身につけておきたい基本的なスキルも数多く含まれていますので就活を通じて身につけるようにしましょう。

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コンタクトした瞬間から選考は
始まっている

さて、応募したい志望先が決まったら、みなさんは「応募」をすることになります。

みなさんは、最初に電話やWeb(求人情報サイトやメールなど)、応募書類の郵送といった方法で応募の意志を志望先に伝えることになります。
この応募という行動自体に重要性を感じている方が意外と少ないように思われます。

しかし、就活という一連の活動の中でこの応募という行動はみんさんが思っている以上に重要な行動であることを理解していただきたいと思います。

その理由を応募が持つ意義を考えていくことで理解していきましょう。

〈応募という行動が持つ意義〉
①志望先に自分の応募の意志を伝える行動
②自分に社会人として基本的なマナーが身についていることを伝える行動
③応募書類などを通じて志望の熱意を伝える行動

こうした意義があるため就活において「応募する=志望先にコンタクトする」という行動には、採用の結果に少なからず影響があります。

ここで覚えておく必要がある点は、以下の点です。

〈Point〉
選考はコンタクトした瞬間から始まっている

確かに採用活動で最も重要なのは“面接”であることは間違いありません。
しかし、面接の前までに、採用担当者が抱く“あなたへのイメージ”をプラスにもマイナスにもしてしまうだけの力を持っているのも、この“応募”というアクションになります。

特に面接の前の段階で“書類選考”があるところでは、書類上だけでみなさんのことが評価されることになります。
直接、会ってもいないのにチャンスがなくなってしまうなんて、残念すぎると思いませんか?

しかし、ちょっとした工夫や意識を変えるだけで書類選考をパスし、面接までたどり着く可能性は格段に高まります。

少しテクニック的な話も含めていきますが、実はそうしたテクニックは社会人にとって必要なマナーでもありますので、ぜひ、“就活”の中で身につけていただきたいと思います。

では、まず“応募する”にはどのような方法があるのか確認しておきましょう!

〈応募の方法〉
①電話で応募する(応募の意思を伝える、問合せをする)
②インターネット上(求人情報サイトなど)から応募する
③郵送にて応募書類を送付する

基本的には、応募の方法には上記の3つの方法があります。
もちろん学校を経由した場合や人材紹介会社を経由した応募方法もありますが、そうした場合は、応募方法なども学校や人材紹介会社が手順を教えてくれると思いますので、今回は除外します。

応募の流れは、主に上記のような流れで進みます。
電話やメール、応募書類には、就職する前に身につけておくべきことももあります。
また、採用担当者が「ぜひ、会ってみたい!」と思えるような応募書類の準備などもあります。

そうしたポイントがどこにあるのか「電話やメールのマナー」、「応募書類の準備」という観点から説明していきます。

電話やメールは社会人のマナーが
評価されている

さて、応募では最初に志望先にコンタクトする際、電話やメール(求人情報サイトの応募機能も含む)を利用する場合が多くなります。
場合によっては、事前連絡をせずに応募書類を送付するケースもあります。

この電話やメールには“就活”を通じて身につけておくべき最低限のマナーというものがあります。
逆にいうと、そうした社会人に相応しいマナーが身についているかどうかが評価される場面でもあるということを理解しましょう。

〈Point〉
電話やメールで社会人のマナーが評価されている

例えば、電話でコンタクトした場合、みなさんの電話の掛け方(雰囲気や言葉づかいなどの印象)が良いか悪いかはほぼ100%、採用担当者や院長先生に伝わっていると思ってください。

つまり、「感じのいい方です」とか「とても丁寧な方でした」という言葉が取り次ぐ時点で採用担当者に伝わっていますし、もちろんマイナスな印象も伝わっています。
採用担当者からも取り次いでくれた方に印象を聞いていると思ってほぼ間違いありません。

電話は、顔(表情)がみえない分、声自体(トーンや言葉づかいなど)で印象が決まってしまいます。
このとき”感じがいいか”それとも“感じが悪いか”という印象は、とても強く残ることになります。

もちろん電話だけで採用の可否が決定するわけではありません。
しかしながら、この後の採用プロセス(書類選考や面接)で、「電話の対応が良かった人かどうか」というイメージを残せているかということを忘れないようにしましょう。

電話対応は、意識すればすぐに良い印象を作れるようになりますので、日頃の電話から気をつけるようにしましょう。

また、電話で応募や問合せをする際にもう一点、注意事項があります。
それは、応募先によってはこの時点で、“質問(口頭面接)をされる場合がある”ということです。

少なくても「志望動機の要点」、「なぜ興味があるのか」、「自分はどういう治療家を目指しているのか」などについては簡潔に答えられるようにしておく必要があります。
この点は、職場見学の依頼をするための電話でも同様ですので、注意してください。

次にメールなどを通じてコンタクトする場合についても考えてみましょう。

インターネット上には多くの求人情報サイトがあり、直接、応募をすることができます。
ここで効果的に自分をアピールする方法として、フリーコメント欄(志望動機欄、備考欄など)があれば、そこを有効に活用してください。

求人情報サイトの応募機能にフリーコメント欄などに、あまり長くならない程度で自分の目標や志望動機を書くようにするだけでも効果はあります。

このフリーコメント欄を上手く使うことは、みなさんの印象をプラスにすることができる方法の一つですので、“何も書かない”ということは避けるようにしましょう。

また、応募後に志望先からくるメールへの対応についても十分に注意が必要です。

応募した後、志望先からメールで連絡がくることがあります。

就活をはじめて経験する方の多くは、ビジネス的なメールを書いたことがない場合が多いと思います。
この際、そのメールの書き方などについて社会人としての基本的なマナーが見られているということを理解しなければなりません。

おそらく志望先からのメールには、応募に対する御礼や書類送付の依頼、今後の予定について記載がされていると思います。
こうしたメールが届いた場合には、速やかに返信をします。
社会人として、相手からの連絡に対して内容を理解したかどうかを伝えることはとても大切なことです。
連絡をしてくれたことへの御礼、相手からの依頼への返事を速やかに伝えることが大切です。

もしメールの書き方が心配な方は、インターネットでメールの書き方を調べれば文例なども掲載していますので、確認するようにしましょう。

電話やメールなどはコミュニケーション・ツールであると同時に社会人としての基本的なマナーが必然的にでてしまうものです。
この点をしっかりと意識した上で、応募先と良いコミュニケーションを図れるように意識することが大切です。

「会ってみたい」と思わせる応募書類
〜前編〜

ここでは、採用担当者にいかに「会ってみたい!」と思ってもらえる応募書類の作成について取り上げます。

志望先によっては、書類選考をおこなうところもあります。
面接も受けずに書類選考で“不採用”になってしまうことほど残念なことはありません。
しっかりと準備をすることで書類選考で“不採用”になる確率はかなり減らすことができます。
また、書類選考がない場合でも、面接の前の段階で自分の事前評価を高くすることができるということをしっかりと認識する必要があります。

まず、当然ですが、応募先から指定された応募書類については全て提出することが前提となります。
例えば「卒業見込証明書(卒業証明書)」や「健康診断書」が必要という場合には、余裕を持って準備するようにしましょう。

では、どうすれば書類選考を通過(合格)し、高い事前評価を得ることができる応募書類を準備することができるのでしょうか?

まず、一般的に多くの方は志望先から指定された“書類だけ”を郵送してしまいます。
もちろんそのこと自体は間違いではありませんが、書類選考をより高い確率でパスし、面接の前に自分の評価をプラスにしておくためには少し工夫が必要です。

そこで用意するものとして、履歴書と合わせて、求められていなくても次の3点を含めた「応募書類4点セット」を送付するようにします。

〈応募書類4点セット〉
1)履歴書
2)自己紹介状
3)職務経歴書(社会人経験がある方)
4)カバーレター

では、この4点についてそれぞれみていきます。

1)履歴書

履歴書は、就活では必ず提出が求められる書類です。
まずは、この履歴書を用意する段階での注意点をみていきましょう。

採用担当者は、これまでに数多くの履歴書をみてきています。その履歴書が丁寧に書かれたものかどうかは、実はすぐに判断できます。その結果、“丁寧さ”がない=“志望度が低い”とか、“仕事を丁寧にしてくれないのでは?”という印象を持つことも少なくありません。
こうした印象は、面接の段階でもとても大きく影響してきます。
これは決して“字が上手いか下手か”ということではありません。真剣に丁寧に書いてあるかということが履歴書1枚からおおよそ判断できてしまいます。
特に字が上手いといわれる方は注意が必要です。なぜならササッと書いた履歴書は、すぐにわかってしまいますので、注意しましょう。

よく「履歴書はパソコンで作ったものでいいですか?」という質問を受けます。決してNGではありませんが、できれば手書きのものがよいと思います。
日本では、まだまだ履歴書は手書きというところが多いですし、手書きで丁寧に書いてある履歴書からは志望の熱意も感じることができます。

履歴書については、「コラムvol5:『履歴書』を書くときに注意したいこと」でも取り上げていますので、合わせてご覧ください

【参考】vol.5〜『履歴書』を書くときに注意したいこと〜

尚、履歴書については自筆をお勧めしていますが、これから述べる「自己紹介状」、「職務経歴書」そして「カバーレター」についてはWordなどのソフトを使ってパソコンで作成してかまいません。
その場合でも、署名は自筆の方がよいといえます。また捺印もしておきましょう(シャチハタはNGです)。

2)自己紹介状

「自己紹介状」とは、「自己PR」を書いたものです。
提出を求められる場合もありますが、もし求められなくても提出するようにしましょう。

自己紹介状は、指定がなければ“A4用紙1枚”にまとめます。

「自己紹介状」に記載する内容は、自己分析に基づき考えてきた「自分の目標(将来、目指したい姿)」やその理由、そして「自己PR」や「自分がどのように職場に貢献できるか、どのように貢献したいか」などを記載します。
もちろん、自分の目標は志望動機を踏まえ、志望先のビジョンや方向性と一致できる内容であることが必要です。

もちろん「履歴書」にも同様の項目があると思いますが、履歴書にかける文字数は限られているので、フリーの書式の中でしっかりとアピールしていくようにします。

面接では、当然、ここに記載した内容や「志望動機」について中心的に聞かれることになります。
面接について説明する中でも触れますが、ここで書いた内容とみなさんが面接の際に話をする内容や面接での印象に一貫性があるかどうかについて面接官は確認をしていくことになります。

※「自己紹介状」に記載する内容は、後述する「カバーレター」にその内容を盛り込んでも構いません。
 もし「カバーレター」に盛り込む場合には用意する必要はありません。
※但し、「カバーレター」に自己PRを盛り込む場合、やはり文字数が限られてきます。
 準備できるのであれば、独立した自己紹介状(自己PR)を作成する方が望ましいといえます。

「職務経歴書」と「カバーレター」については〜後編〜で考えていきます。

「会ってみたい」と思わせる応募書類
〜後編〜

ここでは応募書類4点セットのうちの「職務経歴書」と「カバーレター」について取り上げます。

3)職務経歴書

一般の企業などでの経験をお持ちの方は、「職務経歴書」を提出した方が望ましいといえます。というより、ぜひ提出していただきたいと思います。

多くの方は今まで医療業界と異なった分野で仕事をされてきたかと思います。そのため自分の経験は治療院や医療機関では、役に立たないのではないかという感覚をもたれていますが、決してそのようなことはありません。治療院などでも治療以外の業務はたくさんあります。

例えば、治療で使用する部材の発注業務や在庫管理、ホームページやチラシなどの広告活動、経理業務、院内の設備管理、患者の方への啓蒙活動に使う資料づくりなど探そうと思えば数多くの業務があることがわかります。業界が異なっていたとしても、これまでみなさんが培ってきた“経験”を活かせる場面は数多くありますので、ぜひ職務経歴書は提出していただきたいと思います。
異業種から転職する場合の職務経歴書は、専門用語はなるべく使わず、自分の経験を治療院や医療機関で活かせるような表現で記載することが必要になりますので、よく整理し、内容を考えた上で作成するようにしましょう。

4)カバーレター

「カバーレター」とは「送り状」や「送付状」といわれることもあり、「誰から誰へ」、「何を(いくつ、枚)」、「説明」などを記載したものです。書類などを送付する際のマナーとして、この「カバーレター」をつけるのが一般的なマナーと考えておくとよいでしょう。社会人経験のない方は、ぜひ、この就活の中で「カバーレター」について身につけるようにしてください。参考までに、FAXを送付する場合も同様につけるのが一般的ですので、覚えておきましょう。

さて、このカバーレターですが、単に送付状というだけでなく、自己PRや志望動機を記載しても構いません。つまり単なる案内状ではなく、このカバーレター自体を自己PRするツールとして用いるということです。その場合、〜前編〜で取り上げた「自己紹介状」を別に作成しなくても構いません。ただし、あまり文字数が多くなりすぎないように注意しましょう。
カバーレターは、A4用紙1枚以上になることがないように、文字数が多く余白が少ないかな?と感じた場合には、別紙に「自己紹介状」を作成するようにします。

〈Point〉
郵送する場合には、必ずカバーレターをつける

【参考】就活コラムvol.4〜『カバーレター』ってどうやって書くの?

採用現場でこの「カバーレター」がないものがとても多く見受けられます。実はこのカバーレター(自己PR込)のものを1枚添付するかしないかだけで、採用担当者が持つ印象は大きくことなります。過去の就活で採用されたみなさんの先輩の中でも、「カバーレターをつけたことでとても評価が高まったみたいです」と答えた方もいます。

ぜひ、忘れずに添付するようにしてください。

尚、応募書類を面接の際に持参する場合でも、ここで取り上げた4つの書類(応募書類4点セット)を用意しておくとよいといえます。なぜなら、面接終了後に、採用担当者がその内容を振り返りやすいというメリットがあるからです。

そして補足事項として次の点を覚えておきましょう。


〈応募書類の送付の際に気をつけること〉

①応募書類を折らずに送付できる封筒で送付する
履歴書などの応募書類は、折らずに送付できる大きさの封筒を用意し、郵送するようにしましょう。

②送付書類一式をクリアファイルに入れて送付する
書類が折れたりするのを防ぐために、クリアファイルに入れて送るようにしましょう。



就活は自分にとってとても大切な行動です。応募書類は自分の志望先への思いを込め、大切に送付するようにしましょう。
結果的に、書類を大切に扱う配慮のできる人という印象を持ってもらえると思います。

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