“あなた”のことを知らない採用担当者が、“あなた”を採用する理由をみつけることができるようにする材料(情報)とは?
自分の実現したい目標は何か?
そして「なぜ、そう思うようになったのか?」、「なぜ、そうなりたいのか?」。
自己分析は、こうした疑問に自分で答えていく作業です。

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〈1〉自己分析とは何か?

さて、この章では最初のステップである「自己分析をする」について考えていきます。

この「自己分析」は、これまでも多くの就活経験者がどのように進めればよいか、頭を悩ませてきたものです。
当然、就活をはじめて経験する方にとっては、「自己分析って何?」という疑問がわいてくることになります。

まずは、「自己分析」の定義について考えてみましょう。
このサイトでの就活への取り組みは、自分の実現したい目標へつながる就職先をみつけるということでした。
この点を踏まえ、まずは「自己分析」とは何かについて考えてみたいと思います。

〈自己分析の定義〉
1)自分が人生で達成したい目標やビジョン、価値観を明確にするプロセス
2)就活において自己PRするための材料(情報)を集め、整理するプロセス

就活に取り組む場合の「自己分析」は、この2つへの取り組みだということができます。

その理由は、まず就職先を自分が実現したい目標につながる場所にするためには、自分が望む目標やビジョン、価値観などをしっかりと自分の中で認識することが必要となるからです。

そして、目標を実現するための場所(就職先)で働く機会を得るには、採用試験(書類選考や面接など)に受かる必要もあります。
みなさんは書類選考や面接などの採用試験に受かるために、「あなたのことを知らない採用担当者(院長や面接官など)に“あなた”のことを理解してもらうための情報」を提供する必要があります。

そのため、就活には“自己分析”をすることが必要になるということです。

つまり、就活における自己分析とは、

「自分が望む人生を送るために自分が実現したい目標(※)を定め、それが実現できる、もしくはその実現につながる就職先をみつけるために取り組むもの」
※目標は夢、ビジョン、大切にしたい価値観などという言葉に置き換えて考えても構いません

ということができます。

もちろん、みなさんは鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師を目指しているわけですから、目標は定まっていると考えてしまいがちです。
しかしながら、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の働き方にはとても多くの選択肢があるということを忘れてはいけません。
そのため、みなさんのような専門職であっても、この「自己分析」は取り組むべき課題となるわけです。

では、就活における自己分析では、どのようなことを明らかにすればいいのでしょうか?

それは、次の2点になります。

1)将来、自分が実現したい目標やビジョン、価値観など
→鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師としてどのようなことを達成したいのか?

2)自分がどんな人物であるかを明らかにするための自己PRの材料(情報)
→自分を振り返り、どのような意識でものごとに取り組み、成長し、そしてどんな成果があったのか?

そして、この2つをどのように考え、導き出していくのかについてそれぞれ考えていきます。

また、この自己分析で明らかにしたことが、実際の志望動機をつくりあげる際にとても重要になってくることを覚えておきましょう。


【参考】就活コラムvol.1〜『就活本』は読むべき!?〜



〈2〉目標を設定する

さて、前節で「自己分析の意義」を取り上げました。
ここでは、「自分が実現したい目標を明確にする」ことについて考えていきます。

ではまず、次の質問をじっくりと考えてみてください。

質問①:「あなたは、自分が実現したい目標を明確にできていますか?」

きっと色々な答えがあると思います。
この資格を取得しようと思ったときに描いていた目標やさらにステップアップされた目標などもあるのではないでしょうか?
もしかしたら「忘れちゃった...」という方もいるかもしれませんが...

では、次の質問。

質問②:「あなたはその目標や夢をいつまでにどうやって実現しようと思っていますか?」

いかがですか?具体的に実行計画まで答えられましたか?

実は、「目標設定」ではこの2つの質問がとても重要になってきます。
この質問にしっかりと答えられる自分になることが、“自信”を持って就活にのぞめるかどうかを左右します。

おそらく最初の質問については、「スポーツ・トレーナーになりたい」や「人の役に立ちたい」、「自分を治療してくれた先生のようになりたい」、「いつか開業したい」という比較的漠然とした目標を答えた方が多かったのではないでしょうか?

しかしながら、就活を前にしたみなさんには、さらに踏み込んだ目標について、自分の気持ちに正直に、そして深く考え、心の底から「こういう人生を歩んで行きたい!」、「こうした目標を実現したい!」という高いレベルで意識していただけるようになっていただきたいと思います。

そのためには、単に仕事としての目標だけでなく、これからどのように人生を過ごしていきたいのかということを含めて考えていく必要があります。

人にはそれぞれ大切にしたい価値観があります。
周りと比べるのではなく、自分が望む人生を過ごせることが本当の意味での成功となります。

就活という機会を活かし、これからどのような人生を歩んでいきたいのかということを真剣に考えるチャンスとしてとらえてみてください。

例えば、
①どのような人生を歩んでいきたいのか(人生を通じての目標は何か)?
・社会的地位や名誉を得たい
・経済的に成功したい(どのぐらいの収入を得たいのか?)
・プライベートと仕事のバランスが取れた生活をしたい

②仕事を通じてどのような目標を実現したいのか?
・地域に貢献する治療院をつくりたい
・スポーツトレーナーとしてオリンピックやプロスポーツ選手のサポートをしたい
・地域に根ざし、アマチュアのスポーツ選手のサポートに力をいれたい
・東洋医学の普及に力をいれたい
・治療に何かをプラスして、オリジナルの治療メソッドや新しい業態をつくりたい
・有名な治療家になりたい

③地域社会の中でどのような貢献をしていきたいのか?
・地域社会の中で、ボランティアなどの活動をしていきたい
・地元の活性化に貢献していきたい
・地域のコミュニティの中で貢献できるポジションに就きたい

④家庭と仕事のバランスはどのようにしたいのか?
・どのような家庭を築きたいのか?
・仕事と家庭のバランスはどのようにとっていくのか?

など、人により優先したい価値観は異なるはずです。

そして、どのような価値観を自分が大切にしているのかについて考えてみていただきたいと思います。

その上で、具体的に自分の思考の中で鮮明にイメージできるぐらいまで、自分が立てた目標を意識できるようにしていただきたいと思います。

「プロローグ〜就活の意義を考える〜」でも取り上げましたが、成功した人はどこかのタイミングで、この目標設定を行ってきたといえます。
ビジネス界、スポーツ界、科学者、芸術関係などの成功者について「目標設定、重要性、効果」などの言葉を使って検索をしてみてください。
きっと、そうした事実に数多く触れることができるはずです。

もう少しわかりやすい例をあげるとすれば、スポーツ選手のイメージ・トレーニングに近い感覚ともいえます。
また、最近ではメンタル・トレーナーという仕事が話題になっていますが、スポーツ分野でもビジネスの世界でも、目標設定については盛んに取り上げれていることを考えれば納得していただけるでしょうか?

〈Point〉
「目標設定」では、自分の気持ちに正直になり、深く考え、心の底から実現したい目標を設定し、具体的にイメージすることができるまで意識できるようにする

そして、その上で自分が本気で取り組める“より具体的な内容で、いつまでに、どうやって実現していくのか”というレベルまで文字として書き上げていただきたいと思います。

簡単に書いていますが、この作業は実はとてもエネルギーも時間もかかる取り組みです。
おそらく簡単には完成しないはずです。

最後に「目標設定をする」際の注意点とヒントをお伝えします。

まず注意点として、この「目標設定」に取り組む際、「自分には無理かな...」というマイナスイメージを持ったり、自分を過小評価しないようにしてください。
この点は「目標設定」だけでなく、これから就活に取り組む上でとても大切なことです。

そして考えはじめるスタートとして、

「なぜ、自分は〇〇になろうと思ったのか?」
※〇〇=鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復など

について自問自答を繰り返してみてください。
自分の答えがみつかったら、さらに「なぜ?そう思ったのか?」ということを繰り返してください。
そして「もうこれ以上はみつからない」というレベルまで粘り強く繰り返すことが大切です。

そこに「目標設定」につながるヒントが隠されている場合が多くあります。

〈3〉自分の過去を振り返る

前節では、「目標設定」を取り上げました。
ここでは、自分の過去を振り返り、自分の価値観やものごとへの取り組み方、考え方などを整理していくための考え方を取り上げます。

この取り組みは、就活における「自己PR」の材料を明らかにするとともに、作り上げた「自分の目標」の根拠や背景にも関わってくるものです。

特に「自己PR」は、就活するみなさんを悩ませる問題のひとつになります。
なぜなら、多くの方は「アピールできるものは何もない」と考えているからです。
ここでも自分を過小評価しがちになりますので、そうならないように注意してください。

さて、ではどのように進めていけばいいのでしょうか?

進め方(考え方)としては、

これまでの経験について「どんな意識、姿勢で取り組み、成長してきたか」という“あなたの物語”に「どんな成果があったか」の洗い出しを行う

そして、その目的は、

過去の経験を通じて、自分がどのようなことを学び・考え、それをどう活かしてきたかを説明することで、自分の人間性・価値観・人柄などを表現する

ということになります。

もう少し具体的にどのような手順で自己PRを作っていくか考えましょう。

1)まず、これまで経験したことを時系列で振り返りながら書き出してみる
①高校・大学、今の学校などの学生時代で勉強への取り組み方や部活の経験
②治療院や飲食店などのアルバイトの経験
③ボランティア活動の経験
④趣味での経験
⑤社会人経験があればその時の経験
⑥普段の生活の中での経験 etc

2)こうした経験の中で今の自分に影響を与えたような出来事や自分の行動を変えるような出来事がなかったかを考える

3)このとき、一つだけの経験だけでなく、他の経験についても考えるようにします

4)その経験から「自分が学び、それをどう活かしてきたか(どう成長してきたか)ということ」を説明する文章をつくる

5)いくつか作り上げた中で、応募先に最もふさわしいと思われるものを自分で選び、自己PRとして使う

みなさんは、普段の学校生活(勉強や部活、クラブ活動など)、友人関係、ボランティア、趣味、社会人経験などを通じてさまざまな経験しているはずです。

経験しているからこそ、普段の生活の中で大切にしている考え方や習慣となっている行動につながったことがあるはずです。
「なぜ、そう思ったのか」、「そういう考えにいたったのか?」ということを考えてみてください。
そうして身についたり、習慣となっている良い部分を仕事をする上で役にたつものとして、自己PRで表現していただきたいと思います。

ここで一つ考えた方のヒントを。
過去の経験の中でも特に“失敗した経験”が自分を成長させるケースはとても多くあります。
なかなか題材にできるような経験がみつけられないのであれば、“失敗した経験”を考えてみると、意外な発見があるかもしれません。

みなさんも自分の過去の経験を振り返ってみてください。
きっと大なり小なり失敗した経験やあの時こうしておけばよかったと後悔や反省していることがあるのではないでしょうか?
きっと失敗したことのない人はいないと思います。

でも、失敗は、自分の考え方に影響し、自分の行動を変化させる“薬”にもなることを忘れてはいけません。

そして、ここでも重要なのが、「なぜ?そう思ったのか?」という質問を自分に何度も繰り返すことです。

ここまで自分の経験をどのように就活の自己PRに活かすかについてみてきました。

過去の経験を通じて、自分が何を学び、それをどう活かしてきたかということを説明することで、自分がどういう人間性を持っているのかを表現することができるようになります。
つまり、面接官があなたの人間性を理解しやすくなる情報を提供できるようになります。

〈Point〉
過去の経験を通じて、自分が学び、それをどう活かしてきたかを説明することで、自分の人間性(長所や強み、協調性、前向きさ、積極性など)を表現する

このように自己PRを考える際は、

①自分が経験したことから何を学んだのか、どのように感じたのか?
②その学んだことや感じたことを自分の行動にどう活かしているのか?
③行動を起こした結果、どういう結果・成果が得られたのか?
④一連の経験の中で、自分はどんなこと(価値観や行動)を大切にするようになったのか
⑤それを社会や職場でどのように活かしていくのか

ということを考え、それを「自己PR」として表現することができるようにすることが大切になります。

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