なんとなくいい条件という理由で就職先を選んでいませんか?
果たして「いい条件」とはどういうことでしょうか?
自分にとって「いい条件」の就職先をみつけるには、多くのアンテナが必要です。

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〈1〉どこから求人票を入手するか?

さて、この章では、応募先をどのように見つけるかを考えていきます。

志望先の選定とは、

自分が達成したい目標やビジョン、価値観を実現することにつながる就職先を見つけるプロセス

となります。

まず、応募先の選定についてポイントとなるのは、

①あらゆるツールを使って応募先を探す
→求人情報はどこで入手できるかの方法を理解し、自分の目標が実現できる可能性がある応募先を見つけ出す

②できる限り自分の眼で応募先をみる(職場見学をする)
→実際に応募先の職場見学をし、自分のイメージや印象とあっているかを確認する

という2点になります。

ここでは「①あらゆるツールを使って応募先を探す」をみていきます。

特にはじめて就活をされる方は、まずは求人情報はどこから入手できるか知っておかなければいけません。

求人情報は主に以下の5つぐらいの方法で入手できます。

【求人情報を入手できる方法】
 ①学校の求人情報、就職課を利用する
 ②業界向けの雑誌など
 ③インターネットにある求人情報サイト
 ④登録制の就職支援業者(人材紹介)
 ⑤知人や学校などからの紹介 など

主に上記の方法で求人情報は入手することが可能です。
では、それぞれの内容についてみていきましょう。

①学校の求人情報(掲示板や専用求人サイトなど)、就職課を利用する

学校は無料職業紹介所として登録されているはずですので、全国の治療院や医療機関から求人票が送られてきます。
情報は学校の掲示板や専用サイトから閲覧することができるはずですので、必ず確認するようにしましょう。

学校によっては、教職員の方が治療院や医療機関を訪問し、求人票を集めてくれているところもあるようです。
こうした場合、治療院の様子や雰囲気など求人票には載っていない情報も得られる可能性があります。また卒業生の就職先であれば、就職したOBからの情報やOB訪問ができるチャンスもありますので、学校の就職課は積極的に利用していただきたいと思います。

学校にある求人情報へ応募する場合には、各学校の就職課の方に相談し、どのような手順で応募するかを確認するようにしましょう。

②業界向けの雑誌などから情報を得る

この業界に特化した雑誌などにも求人情報は掲載されています。
業界誌の代表としては、『医道の日本』(医道の日本社)が有名ですので、目を通す習慣をもつとよいかもしれません。
また、最近では業界の情報紙などのフリーペーパーでも求人情報を掲載しているようです。

③インターネットにある求人情報サイトを利用する

インターネット上には、治療家を対象とした“求人情報サイト”があります。
最近でも新しい求人情報サイトがサービスを開始しており、たくさんの求人情報サイトがありますので、気に入ったものをいくつか利用してみるといいのではないでしょうか?

例:「IDO Job Search」(医道の日本社)、「リジョブ」、「治療家ドットコム」など

また、「ハローワークインターネットサービス」というものがあります。
医療業界は昔から「ハローワーク」に求人を出すところが多く、その名残がいまも残っています。
登録をしなくても「ハローワークインターネットサービス」で情報だけを確認することができますので、確認してみるといいでしょう。
治療院や医療機関の名前を確認して、その後、ホームページで採用情報が出ていないかチェックするというやり方をとるのも一つです。
※ハローワークの求人情報では登録者以外には院名などが非公開になっている情報もあります。
※ハローワークにある求人票には応募書類として「紹介状」という記載がありますが、これはハローワークが発行してくれるものです(志望先のホームページに採用情報がでていれば、「紹介状」がなくても応募できます)。

④登録制の就職支援業者(人材紹介)を利用する

治療家の人材紹介をする専門の就職支援業者(人材紹介)というものがあります。
就職支援業者を利用するには、まずその就職支援業者へ登録に行き、自分の希望・条件などを伝えます。
就職支援業者は、みなさんの希望や条件などとデータベースに登録されている求人情報を照会し、希望に近い治療院や医療機関を紹介してくれます。
もちろん面接は行われますが、面接対策や応募書類の作成の支援もしてくれる場合があります。
こうした支援業者を利用する場合には、自分の将来の目標や就職に対する希望や条件というものをしっかりと認識した上で利用するようにしましょう。
漠然とした希望だけを伝えてしまうと、自分の期待していた内容とズレが生じる場合があるので、注意が必要です。
自分が就職先に望んでいるビジョンやコンセプト、治療スタイル、給与や社会保障、福利厚生など様々な条件について優先順位などをしっかりと伝えることが必要です。また、紹介されても断ることもできるということを理解した上で利用した方がいいでしょう。
あくまでも自分が主体であることを忘れずに、協力してもらっているという認識で利用すれば、よい就職先を見つけることができる可能性が高まります。

⑤知人や学校などからの紹介

知人や学校の就職課などからの紹介で就職するケースは少なくありません。
しかし、こうした紹介を受ける場合でも受け身的な対応ではなく、しっかりと自分の希望にあっているのかということを確認する必要があります。
紹介者はみなさんのことを思って、紹介してくれていますが、自分でそこに就職することが本当にいいのかどうかを考えて結論をだすようにした方がいいと思います。
就職してからすぐに退職してしまっては、就職先にも紹介者の方にも迷惑をかけることになりますし、自分自身も精神的に負担となってしまうこともありますので、十分に気をつけましょう。

その他にも、興味のあるの治療院や医療機関に直接、電話で求人が行われていないか問合せをしたり、検索サイトで自分の希望するキーワードを用いて、ヒットしたところのホームページをひとつひとつ確認していくという方法などもあります。
直接、募集の有無の問合せをする場合には、電話でのマナーなどに注意することが必要です。

このように求人情報を得る方法はたくさんあります。
この中で自分が取り組みやすい方法で積極的に求人情報を得るようにしてみましょう。

みなさんはたくさんの求人情報やホームページなどからの情報を利用し、自分に合っている応募先(就職先)を見つけ出さなければなりません。
求人情報やホームページ、会社案内などは、治療院や医療機関の良い面を記載したものが多いわけですから、本当に自分のやりたいこと、自分の目標の実現につながるところなのかを見極める必要があります。
そのために自分のアンテナを最大限に張り巡らし、さまざまな角度から情報を集める意識を持つことが重要です。

さて、そのアンテナを張るひとつの方法として、「応募先を自分の目で確認する」についてを取り上げます。

〈2〉職場見学に行こう!

ここでは、「 ②できる限り自分の眼で応募先をみる(職場見学をする)」について考えていきます。

果たしてみなさんは、求人票やホームページ、治療院案内などの情報だけで自分に合った就職先をみつけることができるのでしょうか?

ホームページさらには治療院案内などの情報は、広告的な要素もありますし、求人情報も言葉では表現されていない部分というのも多くあるといえます。

では、そうした状況の中で本当に自分に合った就職先を見つけるためにどうするか?

それは、

〈Point〉
できる限り自分の目で応募先を確かめる(職場見学をする)

ということです。

みなさんは、求人票やホームページや治療院案内のリーフレットなどから志望先を選んで選ぶことが多くなります。
そのため、そうした情報から得られるイメージを実感できるかどうか確認するために、「自分の目で確かめる(職場見学をさせてもらう)」ことをお勧めします。

治療院や医療機関では、職場見学を受け入れてくれているところが多くあります。
求人票やホームページの採用情報などにも“見学歓迎”というように記載されているものもありますので、積極的に見学にいくようにしましょう。
もし“見学可”という記載がなくても、気になる志望先があれば見学の依頼をしてみるとよいと思います。
また、規模の大きい治療院グループや医療機関では就職説明会なども実施されていますので、そうした機会には時間の許す限り積極的に参加していただきたいと思います。

さらに学校などで“インターンシップ”を行っているところもありますので、積極的に利用することをお勧めします。

なぜ、見学することが必要なのでしょうか?
その理由は、

①求人票やホームページに記載されていることと自分のイメージが合っているのかを確かめることができる

②院長先生や働いているスタッフの方と話をすることで院の雰囲気などを確かめることができる

③実際に職場となる院に行くことで自分がそこで働いているイメージが持てるかどうかを確認できる

などの理由があげられます。

感覚的なものではありますが、この印象やイメージはとても重要だと思います。
ですから、ぜひ職場見学をお願いしてみていただきたいと思います。


〈職場見学における注意点〉

・電話をかける際のマナーに注意をしましょう
→電話をかけ、コンタクトするということは、応募する前であってもみなさんの評価に直結することを覚えておいてください。

・応募先によっては、面接の際に職場見学をさせてくれるところも多くあります。
→その場合は、先方の方針にあわせるようにしましょう

・職場見学にいった際に、面談の中で質問されてしまうこともあります。
→“自分のやりたいこと”、“どのような点に興味を持ち、職場見学をお願いしたか”などについては答えられるようにしましょう。

・診療中は難しい場合もありますが、できれば実際の治療中の様子を見せてもらえるのがベストです。
→先方に相談してみましょう。



さて、みなさんがまだ1、2年生で、実際の就活まで時間があったり、現在は治療院などでアルバイトしているとしても卒業後は違う就職先を見つけようと考えているのであれば、早い時点で“職場見学”を始めておくことは、とても大切です。

なぜなら、

①治療院や医療機関における治療スタイルや雰囲気は千差万別ですので、いろいろな院を見学しておくこと自体、みなさんにとっては良い経験になる

②特に自分の目標が具体的になる前にいろいろな院を見学すると、自分の働き方のイメージが膨らみ、目標がより具体的になるきっかけになる

ですので、見学やインターンシップを受け入れている治療院や医療機関の情報があれば、積極的に参加してみてください。

学校の就職課に相談してみると、そうした情報が得られる可能性が高いと思いますし、最近では、求人情報サイトや就職支援業者などでも見学ツアーなどのサービスを提供しているところもあるようです。

あらゆるツールを使い求人情報を集め、自分の目で確かめ、そして自分の目標を実現できる応募先が見つけられるようにしましょう。

〈3〉職場見学、インターンシップも
評価されている

前項では、積極的に職場見学やインターンシップへの参加、OB・OG訪問をすることについて説明しました。

就活生にとって、自分の目で就職先を確かめることは、就職先を選定するために大切な取り組みの一つです。
また、さまざまな治療院や医療機関をみておくことは、自分の視野を広げる意味もあります。

その一方で、採用側の視点で、職場見学やインターンシップの意義について考えておくことも必要です。

では、採用側はどのような視点で職場見学やインターンシップをとらえているのでしょうか?

それは、

〈Point〉採用側にとっては、職場見学やインターンシップ、OB・OG訪問も採用活動のひとつである

ということです。

つまり治療院や医療機関にとって、職場見学やインターンシップなどの受け入れは、モチベーションの高い学生の採用につながる大切な採用活動の一つということです。

前項で職場見学やインターンシップを依頼する場合の注意点について簡単に触れておきましたが、ここでは受け入れ側(採用側)の視点に立って、更に一歩踏み込んで考えておきましょう。

職場見学やインターンシップの受け入れを行っている治療院などは、オフィシャルな採用試験ではない形で、優秀でモチベーションが高い学生(転職者も含む)と接触したいという考えを持っています。
特に自ら積極的に職場見学やインターンシップに参加しようとする学生は、高いモチベーションを持っている傾向にあるといえます。
そうしたモチベーションの高い学生と接触したいという思いが採用側にはあります。

もちろん中には、みなさんをはじめとした後進の育成のために自分たちの治療院をみせることで、みなさんの視野を広げようとしてくださっているところもあります。

しかしながら、職場見学やインターンシップは、非公式な形だとしても受け入れ側(採用側)からすれば採用活動のひとつの方法であることにかわりはありません。
その点は、みなさんがまだ1年生や2年生であってもそうです。

この点はしっかりと認識しておく必要があります。

もちろん具体的な志望先以外の治療院や医療機関の職場見学やインターンシップに参加することがいけないということではありません。
ここで考えておいていただきたいのは、職場見学やインターンシップ、OB・OG訪問をする場合の心構えという点になります。

つまり、ただ漠然と治療院の見学やインターンシップに参加するようなことはしないということが重要だということです。

一般的には、職場見学やインターンシップでは、治療院のビジョンや方向性、治療スタイル、患者層、1日の業務の流れなどを説明してくれることでしょう。
受け入れ期間によっては、一緒に体験業務をさせてもらえる場合もあるかと思います。
そうした中で、みなさんが話す内容や態度(マナー)などが評価されていると思っておいた方がいいといえます。

つまり、職場見学やインターンシップでは、非公式とはいえ、採用に直結しているものとしてとらえておく必要があるということです。

たとえ、みなさんが自分の視野を広げるために職場見学をしたとしても、受け入れ側(採用側)は、接触した学生の中で優秀な学生がいれば、当然、「採用したい」と考えます。

そのため、何気ない会話の中でも、みなさんの意欲やスキル、人間性、協調性、積極性などが評価されていると考えておきましょう。

職場見学やインターンシップで高い評価が得られれば、そのまま採用につながるケースもあります。

そこで職場見学やインターンシップに参加する際には、下記の点を意識しながら参加することが必要です。

〈職場見学やインターンシップに参加する際に準備しておくこと〉
①自分の目標や治療家としてのビジョンについて
・どんな治療をしていきたいのか?
・どのように社会(患者)や治療院に貢献していきたいのか?
・現在は、自分の目標を実現するためにどのような努力をしているのか?
②今回、なぜ、その治療院や医療機関に職場見学やインターンシップを申し込んだのかについての理由
③職場見学やインターンシップを通じてどんなことを学びたいと思ったのか?

こうした点については、参加する時点での考えとして自分の中で整理しておきましょう。

このように説明すると、「まだ具体的に答えられないから職場見学やインターンシップに参加しない方がよいのかな?」というように考えてしまう方もいるかもしれませんが、そうしたマイナスの考え方は持つべきではないといえます。

もちろん、しっかりと答えられればベストですが、仮に職場見学やインターンシップに参加する段階でまだ自分に自信が持てない場合でも、逆に職場見学やインターンシップを通じて、自分に足りないものは何かを知るチャンスになります。

今の自分に足りないものが何かを意識できるようになれば、これからどうやって埋めていけばいいのかを考える機会になります。

・治療家としての心構えが足りないのか?
・技術や知識レベルがどのぐらい足りないのか?
・自分の設定した目標が低すぎるのか?
・独りよがりの考え方をしていないのか?

実際に治療家として仕事をしている多くの人たちと接することで、その人たちと自分の差を意識できるようになれば、それを埋めるために「何をしなければいけないのか?」ということが理解できるようになります。
そうしたことがわかれば、みなさんは成長する機会を得ることになります。

そして、成長し続けるという高い意欲を持ち続けることが成功するためには必要なことです。
つまり、「就活中でも日々、自分を成長させ続ける」ということが大切になります。
この点は、就活中も就職してからも決して忘れないようにしていただきたいと思います。

こうした「成長し続けようとする意識」を身につけることができれば、漠然と就活に臨んでいる人たちとは比べものにならないくらいの差をつけることができるようになります。

「自分が考えているイメージが正しいのか?」、「今の自分に足りないものは何なのか?」、「もっと努力が必要なことは何か?」を知るためにも是非、職場見学、インターンシップを利用してください。

なお、まれに就活における職場見学やインターンシップの意義を間違え、単に治療技術を学ぼうとしてしまう方がいます。
治療技術を学ぼうとすること自体は、決して悪いことではありませんが、そうしたものは講習会や就活と切り離して技術見学をさせてもらうものと考えておきましょう。

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