採用担当者には、“あなた”を採用する理由が必要です。
意識しているかどうかにかかわらず、“あなた”を選んでよかった理由を探すことになります。
面接では、その理由を面接官である採用担当者に感じてもらえることが必要です。

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〈1〉採用担当者はどこをみているのか!?

この章では、「面接」において採用担当者がどのような観点でみなさんを評価しているのかについて考えていきたいと思います。

さて、そもそも面接において採用側はどのようなスタンスなのでしょうか?

それは、

〈Point〉
面接(採用活動)とは、一緒に働く仲間を探す行為

といえます。

つまり採用側は、面接を通じて

・「自分の部下や後輩、同僚として一緒に働ける人物か?(一緒に働きたいと思えるか?)」
・「自分の院のスタッフとして育てていきたいか?」
・「自分の院に貢献してくれるか?期待できるか?」

という基準で選考していることが多くなります。

もし、自分が面接官だったら、どんな人と一緒に働きたいと思いますか?

実はこの質問は、面接を受ける前に自問自答しておく必要がある質問です。
面接だけでなく、自己分析や志望動機を作る際にも大切な意味を持つ質問ですので、時間をかけて考えてみてください。
この視点を持っていないと全てが自分中心の考えになってしまいます。
社会にでて、働くということは、広い意味で“貢献できる人材になる”という意味が含まれています。
したがって、この観点を持っているかどうかはとても大切になります。

そして、より具体的に評価されるポイントとしては、下記の点が重要になります。

1)採用側のビジョンや方向性、価値観と一致しているか?
2)面接と応募書類、印象などに一貫性があるか?

まず、採用側の価値観やビジョンとみなさんが目指している“目標(実現したいこと、やりたいこと、価値観)”との方向性が一致しているかという点を見極めようとしています。

それぞれの治療院や医療機関には必ずビジョンや価値観があります。
そうした目標とみなさんの目標や価値観が同じ方向を向いているのかということがとても大切になります。
面接官(採用担当者)は、ビジョンや価値観を確認するために“志望動機”や“自己PR”、“将来の目標”、“治療家を目指した理由”などの質問をしながら、みなさんと採用側の価値観の一致を確認していくことになります。

さらに、履歴書やその他の応募書類の内容と面接での印象が一貫しているかどうかについてもみています。
ここでいう一貫性とは、“治療家を目指した理由”、“将来の目標”、“自己PR”、“志望動機”など全てにおいて面接官が納得できる理由づけがされているかという意味です。

また、この一貫性については面接での全体的な雰囲気や声として伝わる言葉の中に感じる意志や熱意、さらに応募書類に書いてあることからも伝わっていくものと覚えておきましょう。
もちろん転職する場合にも、その転職理由についても同様に一貫性が求められます。

また、面接の中で、みなさんの“コミュニケーション・スキル”も確認しています。

質問の内容や意図を理解し、しっかりと答えられるかどうかを見られていますので、しっかりと相手の反応をみながら答えるようにしましょう。

面接の場では、考えてきたことを伝えなくてはという思いが強すぎると会話が一方通行になってしまいますので、注意してください。

さて、ここで面接で評価されていることを改めて整理しておくと、下記のようになります

〈面接で採用側が評価していること〉
①面接は一緒に働く仲間を探す行為であり、スタッフとして迎えいれたい人物かどうか?
②院のビジョンや方向性、価値観とみなさんの目標が一致しているか?
③治療家を目指した理由、将来の目標、志望動機などを通じて一貫性があるか(雰囲気や態度を含めて)?
④コミュニケーション能力があるか?

となります。この点を踏まえて面接にのぞむことが大切です。

そして、実際に面接に臨む際に整理しておいていただきたいことをもう一度、まとめておきます。

〈面接を受ける際にしっかりと整理しておいてほしいこと〉

・なぜ、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師になろうと思ったのか?
→自分がこの資格を取得しようと思ったきっかけ
→将来、どのような治療家になりたいのか?どんなことがしたいのか?(将来の目標)

・志望動機
→なぜ、その治療院や医療機関で働きたいのか?そこでなくてはならないのか?
→志望先の価値観やビジョンと自分の目標の方向性が一致しているのか?

・自己PR
→どのように職場に貢献できるのか、貢献したいのか?

これらの点は、実はこれまでの自己分析や志望動機の作成などの部分でどれも取り上げた内容です。
何度も自問自答し、何度も書き直し、自分で声に出してみてください。
その繰り返しを行うことで、面接官が納得できるものが作り上げられます。

このように採用側とみなさんの側の立場の両方に立って考えていくと、面接とは、

①「自分の目標、ビジョン、価値観と志望先のビジョン、方向性、価値観との擦り合わせの場」
②「自己分析に基づいて自分をアピールする場」

という2つの側面をもっているということになります。

もちろん面接では、“みなさんのことを知る”ためにその他にも多くの質問がされます。
面接でどのようなことが質問については、書籍(就職関連本)やインターネット上にも多くの情報がありますので、自分で探してみるようにしましょう。
情報をどうすれば入手できるのかを考えることも就活や仕事につながりますので、トライしてみましょう!


〈2〉面接を受ける際に注意したいこと

さて、“面接”といわれれば、どんな人でも必ず緊張します。

全ての面接官というつもりはありませんが、多くの面接官は、みなさんのことを理解しようとするスタンスで面接をしてくれるはずです。
中には、厳しい質問などでみなさんのストレス耐性をみている面接官もいると思いますが...その時は、その時です。
冷静に状況を対応できれば、きちんと評価をしてもらえます。

逆に、「面接は、全然緊張しなかった」といって戻ってきた先輩達もいました。
しかし、そういう場合ほど結果的に“不採用”になることが多いといえます。

志望度が高く、その対策としてしっかりと準備すればするほど、緊張感は高まるはずですが、それはみなさんが力を発揮できるチャンスが高まっていると自分に言い聞かせてください。
きっといい結果がでます。

さて、面接を受ける際に注意していただきたい点について説明します。

〈面接を受ける際の注意事項〉
①面接には、基本的にはスーツで行く
②応募の前に職場見学ができなかった場合には、面接の際に職場をみせてもらえるよう依頼をする(白衣を持参しておくこと)
③社会人としてのマナーに気をつける

まず、服装については、“スーツ”で行く方が望ましいといえます。
医療従事者の場合、スーツで通勤することはほとんどありませんが、面接というオフィシャルな場にいくわけですから、社会人として相応しい服装である必要があります。
そのため、男性も女性もスーツで行くことをお勧めします。

“就活”においては、第一印象はとても大切です。
社会人として清潔感のある服装や身だしなみを心がけるようにしましょう。

2点目は、もし面接までに施設見学ができていないようであれば、ぜひ施設見学をさせてもらえるようにお願いをしてみましょう。

応募先によっては、面接の前後に施設内を案内してくれるところもあります。
もし、面接の際にも見学が予定されていないようでしたら、面接の最後に施設見学をさせてもらえるようにお願いをしてみましょう。

複数の治療院を経営しているところでは、面接は本社で行うこともあると思いますので、その場合は、日を改めて見学をさせてもらえるようにお願いしても構いません。

また、面接の際には、見学をさせてもらえるという点を念頭におき、必ず“白衣”を持参しましょう。
特にロングの白衣(一般的にドクター・白衣と呼ばれているもの)を持参すれば、上着を脱いで羽織るだけですみますので、便利です。
現場は、施術をする場所ですので、白衣を持参しておけば、失礼にもなりませんし、準備がよい人という印象ももってもらえます。

3点目は、マナー全般についてです。

まず、社会人として“遅刻は厳禁”です。
たとえ1、2分であっても遅刻すれば、基本的に採用されることはありません。
もし、万が一、不測の事態で約束の時間に遅れそうな場合には、必ず“事前に”連絡をいれるようにします。

もちろん、そうしたことも踏まえ時間には余裕をもって行動する必要があります。
先方より特別な指示がなければ、約束の時間の10分程度前に到着し、受付に挨拶をするのが一般的です。
逆にあまりにも早く到着しすぎるのも控えましょう。

また、受付での対応というものも当然、みられています。
これまでにも電話の対応などについて注意することを説明してきましたが、当然、みなさんが受付でどのような対応をするかという点も大切になります。
自分の氏名と用件を伝えましょう。
例えば、「恐れ入ります本日、〇〇時に面接のお約束をいただいております××と申します」、「こんにちは。××と申します。本日、〇〇時に面接のお約束をいただいております」という程度で構いませんので、しっかりと挨拶をしましょう。
もちろん、対応をしてもらったらお礼を伝え、帰り際にも受付の方がいたらお礼をいって帰るようにしましょう。

こうした社会人としてのマナーは、単に“就活”という限定的なマナーではなく、当たり前のこととして身につけていただきたいと思います。

さて、ここまで面接を受ける際の準備や注意事項について説明してきましたが、最後に心構えのひとつとして覚えておいていただきたい点があります。

〈Point〉
合格すること自体が目標になってしまわないように注意すること

就活をしていると、“内定をもらうこと自体”が目標になってしまいがちです。
特に採用されない状態が数回続いてしまった場合、そうした傾向になりやすくなりますので、気をつけていただきたいと思います。
面接を受ける際にも、面接を通じて志望先を“しっかりと見極める”という心構えを持ってのぞんでいくことが大切です。

残念ながら実際問題として、就職先としてふさわしくない治療院や医療機関が存在していることも確かです。
そのため、職場見学や面接を通じて本当に自分がやりたいことを実現できる場所かどうかを確認していかなくてはいけません。
もちろん、就職して自分のやりたいことがすぐに実現できるほど、この世界は甘いものではありません。
苦労することも沢山あります。
どんな仕事でも、必ず乗り越えて行かなければ次のステップにはあがれないこともしっかりと認識するということも必要です。
面接時や事前の職場見学を通じて、そこで働きたいという思いを持てるかどうかがとても重要ですので、その点を忘れないようにしましょう。

面接や事前見学、院長やスタッフの様子、患者の方の様子、求人票の内容(手書きの場合、丁寧に書かれていないなど)をトータルに考慮して自分の目標につながる経験ができる治療院であるかを見極めなくてはいけないということを忘れないでください。

最終的には、自分で自分の働き場所を見つけなければなりません。

この点は頭の片隅にいれておくようにしましょう。

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